三国志

三国志を読んで】


恥ずかしながら、この歳になって初めて三国志を読んだ。
北方謙三の方で、文庫本で全14巻。
ここまでの長編を読むのは初めてであり、また小説を読んだのも数年ぶりだ(最後に読んだのがいつかの記憶もない)。

きっかけとしては「レッドクリフ」というわけではなく
(最近までレッドクリフ赤壁の戦いを描いた映画だとは知らなかった・・・)
中国の取引先が三国志にゆかりの深い場所にあり、
ウチの社長も詳しく、度々話に出てくるので、薦められて&後輩から若干強引に全巻持たされ読み始めた。

すぐにはまった。笑
通勤中に読んでいて関羽が死んだときはショックで同僚に関羽が死んだと報告してみたり、
寝る前に読んでいて張飛が死んだときは眠れなくなり、
渋谷のマクドで読んでいて劉備が死んだときは隣の女子高生がいるにもかかわらず泣きそうになり
帰り道歩きながら読んでいて趙雲が死んだときは思わず立ち止まり何度も読み返し
朝飯食べながら読んでいて、最後に諸葛亮が死んだときは食べる気をなくした。


小説にもかかわらず、線を引きたい名言が多々有った(借り物なので出来なかったが)。

もっとも考えさせられたのが「人の魅力」に関して。

魏、呉、蜀の曹操孫権劉備それぞれの国を率いた人物。
それぞれに考えを持っており、それぞれを慕う人物がいる。

一概に、誰の考えが良いとかは言えないだろう。
個人的にはやはり劉備に惹かれてしまう。

結果的には天下統一という夢を果たすことが出来なかったが、
何故、劉備には関羽張飛趙雲諸葛亮等の名だたる人物が付いてきたのだろうか。
話の中では、最も巨大な勢力を率いていた魏の曹操でさえも劉備をうらやんでいる。

北方謙三の『三国志』中での
曹操孫権劉備の考えの違いとしては

曹操 : 自分を中心とした天下統一、人は自分に従うか否かの2種類
孫権 : 天下統一に必ずしも興味はなく、長江を中心とした呉の国さえ豊かになれば良い
劉備 : 自分は中心でなくても良く、漢王室を中心とした魏・呉・蜀関係なく真に民の平和を実現するための天下統一

である。
(うまく抽象化できていないのは自分でもわかってます。。)

劉備に上記のような将軍たちが魅力を感じたというのは
(名目上かもしれないが) もっとも民の事を考えた大儀=最も視野が広く、壮大な大儀を持っていたからではないだろうか。
自分中心の天下である曹操、自国さえ良ければと考える孫権、一方で国関係なく民の平和を考える劉備

そうした考え・信じているものの違いが、人の魅力につながるのではないかと思う。

故に、「人は見た目が9割」とか言ったりするが(実際そうかもしれないが)、
表面的なものでごまかしても、信じている確固とした考えがない限り、人は付いて来ないと思うし、真に魅力的な人であるとは言えないのではないかと思う。